英語教育は早すぎるとデメリットがある?日本語発達への影響を保育士・モンテッソーリ教師が本音で解説

知育情報メディア きらめきキッズ 0歳
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「うちの子、まだひらがなも完璧じゃないのに、英語なんて始めて大丈夫かしら?」

そんな不安を抱えながら、この記事にたどり着かれたのではないでしょうか。SNSでは「○歳で英語ペラペラ!」という投稿を見かけ、一方で「日本語もできないうちから英語なんて…」という意見も耳にする。どちらが正しいのか、わが子にとって何がベストなのか、迷ってしまいますよね。

こんにちは。モンテッソーリ教師(AMI国際資格保有)として10年間、保育の現場で子どもたちの言語発達を見守ってきた私が、今日は「早期英語教育のデメリット」について、専門家として、そして一人の母親として、本音でお話しします。

実は私自身、娘が2歳の頃に「英語の黄金期を逃してはいけない」という思いから、月謝3万円の英語教室に通わせた経験があります。でも結果は…娘は教室で泣いてばかり。それどころか、家でも「ママ、なんで知らない言葉を覚えなきゃいけないの?」と困った顔をするようになったんです。

あの時の私のように、「何かしなければ」という焦りで判断を急ぐ前に、まずは冷静に、科学的な事実を一緒に見ていきませんか。この記事では、早期英語教育のメリットだけでなく、あまり語られることのないデメリットや注意点について、現場で見てきたリアルな体験談も交えながら、詳しく解説していきます。

  1. 1. 早期英語教育で本当に心配すべき3つのデメリット
    1. 1-1. ママ・パパの心がザワザワする、本当のリスクとは?
    2. 1-2. なぜこれらのデメリットが見過ごされがちなのか
  2. 2. 日本語の土台が揺らぐ?言語発達への影響を専門家が解説
    1. 2-1. 言語発達の「黄金のルール」を知っていますか?
    2. 2-2. 実際の発達過程:日本語と英語、どう影響し合う?
    3. 2-3. バイリンガル研究が教えてくれること
  3. 3. 「臨界期仮説」の真実:早く始めないと手遅れは本当?
    1. 3-1. 「○歳までに始めないと手遅れ」説の正体
    2. 3-2. 科学的根拠を冷静に見てみましょう
    3. 3-3. 「早期教育神話」に惑わされない賢明な判断を
    4. 3-4. では、いつから始めるのがベスト?
  4. 4. 実際に起こった困ったケース:保育現場からの報告
    1. 4-1. ケース1:「英語ばかりで日本語が出てこない」れんくん(3歳5ヶ月)
    2. 4-2. ケース2:「英語への拒否反応」が出たさくらちゃん(4歳2ヶ月)
    3. 4-3. ケース3:「言語の混乱期」が長引いたたかしくん(2歳11ヶ月)
    4. 4-4. これらのケースから学べること
  5. 5. 早期英語教育が向いている子・向いていない子の特徴
    1. 5-1. 向いている子の特徴:「この子なら大丈夫」のサイン
    2. 5-2. 注意が必要な子の特徴:「もう少し待った方がいいかも」のサイン
    3. 5-3. 子どもの個性を見極める3つの観察ポイント
    4. 5-4. 「向いていない」ではなく「今はその時期ではない」
  6. 6. 年齢別・発達段階別のおすすめ英語学習アプローチ
    1. 6-1. 0歳〜2歳:「音の世界」を楽しむ時期
    2. 6-2. 2歳〜4歳:「遊び」の延長として英語に触れる時期
    3. 6-3. 4歳〜6歳:「学習」への橋渡し期
    4. 6-4. 小学生以降:「学習」として本格的にスタート
    5. 6-5. 年齢別アプローチの共通原則
  7. 7. 家庭でできる!日本語力を伸ばしながらの英語導入法
    1. 7-1. 「両立」ではなく「相乗効果」を目指そう
    2. 7-2. 「翻訳遊び」から始める言語の橋渡し
    3. 7-3. 絵本の「二言語読み聞かせ」テクニック
    4. 7-4. 日常生活の中での「言語スイッチング」
    5. 7-5. 「質問上手」になる親の技術
    6. 7-6. 家庭学習の具体的タイムスケジュール
    7. 7-7. 失敗しないための3つの注意点
    8. 7-8. 家庭学習の効果を高める環境作り
  8. 8. 英語教材・教室選びで失敗しないための5つのチェックポイント
    1. 8-1. チェックポイント1:「費用の透明性」を必ず確認
    2. 8-2. チェックポイント2:「子どもの発達段階」に合ったカリキュラム
    3. 8-3. チェックポイント3:講師の質と教室の方針
    4. 8-4. チェックポイント4:クラスサイズと個別対応
    5. 8-5. チェックポイント5:家庭との連携と継続性

1. 早期英語教育で本当に心配すべき3つのデメリット

1-1. ママ・パパの心がザワザワする、本当のリスクとは?

「英語は早ければ早いほどいい」という情報があふれる中で、実際に保育現場で10年間、子どもたちを見てきた私が感じる「本当のデメリット」をお話しします。それは、多くの育児書やウェブサイトには書かれていない、もっと身近で、でもとても重要なことなんです。

【デメリット1】母語(日本語)の語彙力発達が遅れる可能性

2歳半の太郎くん(仮名)のお話をさせてください。太郎くんは1歳から週3回、英語のプリスクールに通っていました。確かに「Apple」「Blue」といった単語は覚えましたが、同年代の子どもたちが「きれい」「おもしろい」「悲しい」といった気持ちを表す日本語を豊かに使えるようになる中で、太郎くんは「すごい」「やばい」といった限られた表現しか使えませんでした。

言語学者の今井むつみ氏の研究によると、3歳までの語彙爆発期に母語でしっかりとした基盤を築くことが、その後の思考力や学習能力の土台となることが分かっています。英語に多くの時間を割くことで、この貴重な時期の日本語習得がおろそかになってしまうリスクがあるのです。

【デメリット2】「言語の混乱期」による一時的な発語の遅れ

これは専門用語で「言語干渉」と呼ばれる現象です。花子ちゃん(仮名・2歳10ヶ月)は、英語教室に通い始めて3ヶ月後、急に話すことが少なくなりました。お母さんが心配して相談に来られた時、花子ちゃんは「えーっと…これは…Dog?いぬ?」と、どちらの言語を使えばいいのか迷っている様子でした。

この現象は一時的なものですが、言語の敏感期にある幼児にとっては、大きなストレスになることがあります。特に、家庭で使う言語と教室で使う言語が異なる場合、子どもは「どちらが正しいの?」という混乱を経験することがあるのです。

【デメリット3】子どもの自己肯定感への影響

これが私の最も心配している点です。みどりちゃん(仮名・3歳)は、英語教室で「No」と言われることが重なり、「私、だめな子なのかな?」と言うようになりました。幼児期の子どもにとって、理解できない言語で指示されたり、評価されたりすることは、時として自信を失う原因になってしまうことがあります。

1-2. なぜこれらのデメリットが見過ごされがちなのか

これらのデメリットがあまり話題にならないのには、理由があります。英語教育業界の「早期教育の効果」を強調する傾向と、保護者の「他の子に遅れをとりたくない」という気持ちが重なって、慎重な検討よりも「とりあえず始める」という選択がされがちだからです。

でも、子どもの発達は一人ひとり違います。隣の家の○○ちゃんが英語を楽しそうに話していても、わが子に同じアプローチが合うとは限りません。大切なのは、わが子のペースと個性を理解し、その子にとって最適なタイミングと方法を見つけることなのです。

2. 日本語の土台が揺らぐ?言語発達への影響を専門家が解説

2-1. 言語発達の「黄金のルール」を知っていますか?

「日本語もまだなのに、英語なんて…」というおばあちゃんの心配は、実は科学的にも正しい面があります。言語学では「母語優位の原則」という考え方があり、まず母語(日本語)でしっかりとした思考の基盤を作ってから第二言語に取り組む方が、結果的に両方の言語を高いレベルで習得できるとされています。

私がモンテッソーリ教師として特に重視しているのは、3歳から6歳の「言語の敏感期」です。この時期の子どもたちは、まるでスポンジのように言語を吸収しますが、同時に「どの言語が自分の思考の基盤になるのか」を無意識に決めている大切な時期でもあります。

2-2. 実際の発達過程:日本語と英語、どう影響し合う?

0歳〜2歳:音の区別を覚える時期

この時期の赤ちゃんは、世界中のあらゆる言語の音を聞き分ける能力を持っています。でも、8ヶ月頃から、よく聞く言語(通常は母語)の音により敏感になり、使わない言語の音は聞き分けにくくなっていきます。

例えば、日本語を話す大人が「L」と「R」の区別が難しいのは、この時期に英語の音に十分触れなかったからです。この事実から「だから英語は早く始めるべき」という結論に飛びつきがちですが、ちょっと待ってください。

保育現場で見ていると、この時期に大切なのは「音の区別」よりも「愛着関係の中での豊かな言語体験」です。お母さんの優しい日本語での語りかけ、お父さんとの楽しい日本語でのやり取り。これらが、その後のすべての言語学習の土台となる「言語への信頼感」を育てるのです。

2歳〜4歳:語彙爆発と文法習得の時期

「ワンワン、いた!」から「大きい犬さんが公園にいたね」へ。この急激な言語発達が起こるのがこの時期です。1日に10個以上の新しい単語を覚える「語彙爆発」が起こり、文法規則も自然に身につけていきます。

ここで英語を導入する場合の注意点をお話しします。健太くん(仮名・3歳2ヶ月)のケースです。健太くんは日本語で「きょう、こうえんで、ともだちと、あそんだ」と話せる段階でした。でも英語教室では「I play」「You play」といった現在形の練習ばかり。

結果として、健太くんは日本語でも「健太、遊ぶ」「ママ、来る」といった、文法的に不完全な表現をするようになりました。これは「言語転移」という現象で、第二言語の学習が母語の発達に影響を与えた例です。

4歳〜6歳:抽象的思考と読み書きの準備期

この時期になると、子どもたちは「なぜ?」「どうして?」という質問を繰り返し、抽象的な概念についても考えられるようになります。「正義」「友情」「美しさ」といった目に見えない概念を、主に母語を通して理解していく重要な時期です。

あかりちゃん(仮名・5歳)は、「美しい」という日本語の概念をまだ十分に理解していない段階で、英語で「Beautiful」を覚えました。でも、あかりちゃんにとって「Beautiful」は単なる音の組み合わせに過ぎず、本当の意味での理解には至りませんでした。

2-3. バイリンガル研究が教えてくれること

最新のバイリンガル研究では、「添加型バイリンガル」と「減算型バイリンガル」という概念があります。

添加型バイリンガルは、母語がしっかり確立してから第二言語を学ぶことで、両方の言語が高いレベルで習得される状態です。一方、減算型バイリンガルは、母語が十分に発達する前に第二言語が導入されることで、どちらの言語も中途半端になってしまう状態を指します。

カナダの研究者ジム・カミンズ氏の「氷山モデル」によると、表面に見える会話能力の下には、思考力や学習能力を支える「認知学習言語能力」という大きな氷山が隠れています。この土台部分は、母語でしっかりと築かれることが重要で、これができていれば第二言語の習得もスムーズになるとされています。

3. 「臨界期仮説」の真実:早く始めないと手遅れは本当?

3-1. 「○歳までに始めないと手遅れ」説の正体

「6歳までに英語を始めないと、ネイティブのような発音は身につかない」 「12歳を過ぎたら、第二言語習得は困難になる」

こんな話を聞いたことはありませんか?これらは「臨界期仮説(Critical Period Hypothesis)」と呼ばれる理論に基づいています。でも、この理論には多くの誤解があることを、まずお伝えしたいと思います。

3-2. 科学的根拠を冷静に見てみましょう

発音について:本当に6歳がリミット?

確かに、音韻習得(発音の聞き分けと産出)には敏感期があります。でも、これは「6歳までに完璧にしなければならない」という意味ではありません。

私の知り合いで、10歳から英語を始めて、現在アメリカで通訳として活躍している田中さん(仮名)がいます。彼女の発音は、ネイティブと見分けがつかないほど自然です。「発音は年齢よりも、どれだけその言語に愛情を持って接したかが大切」と話してくれました。

文法習得について:大人になってからでも大丈夫

実は、文法習得に関しては、大人の方が子どもより効率的に学習できることが研究で分かっています。大人は論理的思考力を使って、効率よく規則を理解できるからです。

ゆうきくん(仮名)のお母さんは、「息子が小学生になってから一緒に英語を勉強し始めた」と話してくれました。「子どもの方が覚えが早いと思っていたけれど、文法は私の方が理解が早くて驚きました。でも息子の方が恥ずかしがらずに話すので、それぞれに良さがあるんですね」

3-3. 「早期教育神話」に惑わされない賢明な判断を

神話その1:「早く始めるほど効果的」

現実は:質の高い学習であれば、開始年齢よりも学習環境と本人の意欲の方が重要

神話その2:「子どもは語学の天才」

現実は:子どもは音を覚えるのは得意だが、意味の理解や文法習得は大人の方が効率的

神話その3:「バイリンガルの子どもは学習能力が高い」

現実は:母語がしっかりしているバイリンガルは学習能力が高いが、どちらの言語も中途半端な場合は逆効果になることも

3-4. では、いつから始めるのがベスト?

この質問に、一律の答えはありません。なぜなら、子ども一人ひとりの発達ペース、性格、家庭環境、学習環境がすべて違うからです。

でも、目安となる考え方をお伝えします:

0歳〜3歳:「英語の音」に慣れ親しむ程度

  • 英語の歌やわらべうたを聞かせる
  • 絵本の読み聞かせに英語も加える
  • ただし、日本語での豊かなコミュニケーションが最優先

3歳〜6歳:「遊び」の中で英語に触れる

  • 日本語の語彙や思考力がある程度発達してから
  • 強制ではなく、楽しみの一つとして
  • 週1〜2回程度の短時間から

小学生以降:「学習」として本格的にスタート

  • 論理的思考力を活用した効率的な学習が可能
  • 目標設定や達成感も理解できる
  • 継続的な学習習慣を身につけやすい

4. 実際に起こった困ったケース:保育現場からの報告

4-1. ケース1:「英語ばかりで日本語が出てこない」れんくん(3歳5ヶ月)

れんくんは、1歳半からインターナショナルプリスクールに通っていました。家庭でも「英語環境を作りたい」というお母さんの思いから、平日は英語、週末も英語教材のDVDという生活。

3歳になった頃、れんくんに変化が現れました。お友達と遊んでいても「I want this」「No, no」といった簡単な英語しか話さず、日本語で感情を表現することが難しくなったのです。

特に心配だったのは、れんくんが泣いている時です。「どうしたの?」と日本語で聞いても、「I don’t know」と答えるだけ。本当は日本語で「悲しい」「寂しい」といった気持ちを表現したいのに、その言葉を知らないために、自分の感情をうまく伝えられずにいました。

専門家としての分析 れんくんのケースは、「言語が思考と感情の表現ツール」であることを明確に示しています。英語の単語は覚えても、それが本当の意味で理解され、感情と結びついていなければ、コミュニケーションツールとしては不完全なのです。

その後の対応 お母さんと相談し、まずは家庭での日本語時間を増やしました。お母さんが日本語でゆっくりと、れんくんの気持ちに寄り添いながら話しかける時間を作ったのです。半年後、れんくんは「さびしかった」「うれしい」といった日本語の感情表現ができるようになり、英語も以前より自然に使えるようになりました。

4-2. ケース2:「英語への拒否反応」が出たさくらちゃん(4歳2ヶ月)

さくらちゃんのお母さんは、周りのママ友が英語教室に通わせているのを見て、「うちも遅れをとっちゃいけない」と4歳の誕生日から週2回の英語教室に通わせ始めました。

最初の2ヶ月は「楽しい」と言っていたさくらちゃんでしたが、3ヶ月目に入った頃から「英語教室、行きたくない」と言うように。理由を聞いても「よくわからない」という答えでした。

よく観察していると、さくらちゃんは完璧主義な性格で、「正しく言えない」ことにストレスを感じていることが分かりました。日本語では豊かな表現ができるのに、英語では単語でしか表現できない。そのギャップが、さくらちゃんには大きなフラストレーションだったのです。

専門家としての分析 4歳のさくらちゃんは、すでに日本語で複雑な文章が作れる年齢です。「今日、公園で大きな犬に会って、最初は怖かったけど、やさしい犬だったから撫でることができたの」といった体験を、豊かに表現できます。

でも英語教室では「I see a dog」レベルの表現しかできない。この「表現力の落差」が、プライドの高い子どもには大きなストレスになることがあります。

その後の対応 英語教室を一旦お休みし、家庭で「英語遊び」から始めることにしました。「英語で色を言えるかな?」「英語で数を数えてみよう」といった、さくらちゃんが「できた!」と感じられる簡単なことから。半年後、自信を取り戻したさくらちゃんは、自分から「また英語、やってみたい」と言うようになりました。

4-3. ケース3:「言語の混乱期」が長引いたたかしくん(2歳11ヶ月)

たかしくんは、2歳から英語教室に通い始めました。覚えの早い子で、すぐに「Apple」「Blue」「Big」といった単語を話すように。お母さんも「やっぱり早く始めてよかった」と喜んでいました。

ところが、3ヶ月ほど経った頃から、たかしくんに奇妙な現象が起こりました。「これは何?」と聞くと、「えーっと…リンゴ…Apple…どっち?」と答えに迷うように。そして次第に、話すこと自体が少なくなっていきました。

最も心配だったのは、たかしくんが「間違えるのが怖い」という表情を見せるようになったことです。以前は積極的におしゃべりをしていたのに、「どっちの言葉で言えばいいんだろう?」という迷いから、発言を控えるようになってしまったのです。

専門家としての分析 これは「コード・スイッチング」と呼ばれる現象が、まだ未熟なたかしくんには負担になったケースです。バイリンガルの人は、相手や状況に応じて自然に言語を切り替えますが、これは高度な認知能力が必要な作業です。

2歳のたかしくんには、「いつ日本語を使い、いつ英語を使うべきか」の判断が難しすぎたのです。

その後の対応 英語教室を一旦中断し、まずは日本語でのコミュニケーションを十分に楽しむ時間を作りました。「たかしくんの日本語、とても上手だね」「お話を聞かせて」と、日本語での表現を認め、褒めることで、言語への自信を取り戻していきました。

4-4. これらのケースから学べること

共通点1:子どものペースを無視した早期開始 3つのケースに共通するのは、子どもの発達段階や個性を十分に考慮せずに、「早く始めることが良い」という思い込みで英語教育を開始したことです。

共通点2:母語(日本語)の軽視 どのケースでも、英語習得に重点を置くあまり、日本語での豊かなコミュニケーションがおろそかになっていました。

共通点3:子どもの「困った」サインを見逃した 初期の段階で子どもが発していた小さなサインを、「慣れの問題」として見過ごしてしまいました。

改善のための3つのポイント

  1. 母語を最優先:まず日本語でしっかりとした表現力を育てる
  2. 子どものペースを尊重:「みんながやっているから」ではなく、わが子の発達に合わせる
  3. 楽しさを最重要視:「できること」より「楽しいこと」を大切に

5. 早期英語教育が向いている子・向いていない子の特徴

5-1. 向いている子の特徴:「この子なら大丈夫」のサイン

10年間の保育現場での経験から、早期英語教育にスムーズに適応できる子どもたちには、いくつかの共通点があることが分かりました。ただし、これらの特徴がないからといって、英語学習に向いていないわけではありません。開始のタイミングや方法を工夫すれば、どの子も英語を楽しく学ぶことができます。

特徴1:日本語でのコミュニケーション能力がしっかりしている

ゆうたくん(仮名・4歳1ヶ月)は、英語教室に通い始める前から、日本語で豊かな表現ができる子でした。「きょう、こうえんでともだちとサッカーをしたんだ。さいしょはまけそうだったけど、さいごにぼくがゴールをきめて、みんながよろこんでくれた」といった具合に、時系列を整理して、感情も含めて体験を語ることができます。

このような子どもは、新しい言語を学ぶ際も、すでに持っている言語能力を土台として活用できるため、混乱することが少ないのです。

特徴2:新しいことに対する好奇心が旺盛

みやちゃん(仮名・3歳8ヶ月)は、初めて英語の歌を聞いた時、「この歌、なんて言ってるの?」「私も歌いたい!」と目を輝かせていました。このような「知りたい」「やってみたい」という内発的動機がある子どもは、言語学習を苦痛ではなく冒険として受け取ることができます。

特徴3:間違いを恐れない、おおらかな性格

はるくん(仮名・3歳5ヶ月)は、英語の先生に「How are you?」と聞かれて、「元気でーす!」と日本語で答えて、みんなで大笑いしました。でもはるくんは恥ずかしがることなく、「英語では何て言うの?」と聞き返しました。

このように、「間違い」を「学びのチャンス」として捉えられる子どもは、言語学習において大きなアドバンテージを持っています。

特徴4:集中力があり、ルーティンを好む

あいちゃん(仮名・4歳3ヶ月)は、毎朝の身支度を決まった順序で行い、絵本を読む時も最後まで集中して聞くことができます。このような子どもは、英語学習の習慣も無理なく身につけることができます。

5-2. 注意が必要な子の特徴:「もう少し待った方がいいかも」のサイン

特徴1:日本語の発達がゆっくりペース

りょうくん(仮名・3歳2ヶ月)は、まだ二語文(「パパ、いた」「ワンワン、大きい」など)が中心で、複雑な文章を話すのは難しい状況でした。このような場合、まずは日本語でのコミュニケーション能力をしっかりと育ててから、英語を導入する方が効果的です。

ただし、これは「りょうくんが英語に向いていない」という意味ではありません。日本語がもう少し安定してから始めることで、より楽しく、効果的に英語を学ぶことができるという意味です。

特徴2:新しい環境や変化に敏感

ななちゃん(仮名・2歳10ヶ月)は、いつもと違う道を通るだけで不安になったり、新しい人に会うと緊張して固まってしまったりするタイプです。このような敏感な子どもの場合、英語という「新しい言語」の導入は、大きなストレスになる可能性があります。

まずは安心できる環境で、日本語でのコミュニケーションを十分に楽しんでから、ゆっくりと英語に触れていく方が良いでしょう。

特徴3:完璧主義の傾向がある

けんたくん(仮名・4歳6ヶ月)は、折り紙がうまく折れないと泣いてしまったり、字がきれいに書けないと「だめだ」と言って諦めてしまったりします。このような完璧主義の傾向がある子どもは、「正しく発音できない」「先生の質問に答えられない」といった状況に、大きなストレスを感じることがあります。

5-3. 子どもの個性を見極める3つの観察ポイント

観察ポイント1:普段の遊びでの様子

  • 一人遊びを好むか、みんなと遊ぶのを好むか
  • 新しいおもちゃにすぐに興味を示すか、慣れ親しんだもので遊ぶのを好むか
  • 遊びのルールを理解し、守ることができるか

観察ポイント2:コミュニケーションのスタイル

  • 自分から話しかけることが多いか、聞かれてから答えることが多いか
  • 感情表現が豊かか、控えめか
  • 大人との会話と、同年代の子どもとの会話で、どちらが得意か

観察ポイント3:学習への取り組み方

  • 新しいことを覚えるのが早いか、時間をかけてじっくり理解するタイプか
  • 間違いを指摘されたときの反応はどうか
  • 継続して同じことに取り組むことができるか

5-4. 「向いていない」ではなく「今はその時期ではない」

大切なことは、これらの特徴は「向き不向き」を決定するものではなく、「最適な開始時期と方法」を考える材料だということです。

たとえば、完璧主義の傾向があるけんたくんも、小学生になって論理的思考力が発達してからは、英語学習にとても積極的に取り組むようになりました。「なぜこの文法になるのか」を理解できるようになったことで、「間違い」を「学びのプロセス」として受け入れられるようになったのです。

また、敏感なななちゃんも、家庭で英語の絵本を読み聞かせることから始めて、英語に対する親しみを育てていきました。無理に教室に通わせるのではなく、ななちゃんのペースに合わせた方法を選んだことで、6歳になった今では「英語の本、読んで」と自分からリクエストするようになっています。

6. 年齢別・発達段階別のおすすめ英語学習アプローチ

6-1. 0歳〜2歳:「音の世界」を楽しむ時期

この時期の子どもの特徴

  • 言語の音の区別を覚える敏感な時期
  • 意味の理解よりも、リズムや音の響きに興味
  • 愛着関係の中での言語体験が最も重要

おすすめのアプローチ

家庭でできること まりちゃん(仮名・1歳3ヶ月)のお母さんは、毎日の授乳の時間に英語の子守唄を歌っています。「Twinkle, Twinkle, Little Star」を日本語版と英語版の両方で歌うのですが、まりちゃんは音の違いを楽しそうに聞いています。

重要なのは、お母さん自身が楽しんで歌うことです。「発音が完璧でないと」と心配する必要はありません。愛情たっぷりの声で歌われる歌は、どんな言語であっても、子どもの心に深く響きます。

注意すべきポイント

  • 英語のかけ流しに頼りすぎない:人との直接的なやり取りが最も重要
  • 日本語でのコミュニケーションを最優先:この時期は母語の基盤作りが最重要
  • 子どもの反応を観察:嫌がる様子があれば無理をしない

実際の成功例 たけしくん(現在4歳)のお母さんは、0歳の頃から毎日の絵本タイムに、日本語の絵本3冊と英語の絵本1冊を読み聞かせていました。「英語の絵本は理解させようとせず、リズムと音を楽しむだけ」というスタンスで続けた結果、たけしくんは自然に英語の音に親しみを持つようになりました。

6-2. 2歳〜4歳:「遊び」の延長として英語に触れる時期

この時期の子どもの特徴

  • 語彙爆発期で、新しい言葉への興味が旺盛
  • 「遊び」と「学習」の区別がない
  • 模倣することが大好き

おすすめのアプローチ

歌と手遊びを中心に ゆいちゃん(仮名・3歳4ヶ月)のお母さんは、「Head, Shoulders, Knees and Toes」の歌に合わせて、体の部分を英語で覚える遊びを始めました。最初は「ヘッド?」「ショルダー?」と首をかしげていたゆいちゃんでしたが、歌に合わせて体を動かすうちに、自然に単語を覚えていきました。

日常生活での簡単な英語導入 「Good morning!」「Thank you」「Please」といった挨拶や基本的な表現を、日本語と一緒に使ってみます。重要なのは、「英語を教えよう」とするのではなく、「今日も一緒に遊ぼうね」という気持ちで接することです。

絵本の活用法 この時期におすすめなのは、絵が豊富で、同じフレーズが繰り返される絵本です。「Brown Bear, Brown Bear, What Do You See?」のように、リズムがあり、予測しやすい内容の本は、子どもが「次に何が来るか分かる!」という達成感を味わいながら楽しめます。

注意すべきポイント

  • 「正しさ」よりも「楽しさ」を重視
  • 子どもが飽きたらすぐに切り上げる
  • 英語の時間は短時間(10分〜15分程度)に

6-3. 4歳〜6歳:「学習」への橋渡し期

この時期の子どもの特徴

  • 論理的思考の芽生え
  • 文字への興味が出始める
  • 「なぜ?」「どうして?」の質問が増える

おすすめのアプローチ

文字との出会いを大切に しんくん(仮名・5歳2ヶ月)は、自分の名前をローマ字で書くことから英語の文字に興味を持ちました。「SHIN」という文字を見て、「これがぼくの名前?」と驚き、そこから「他の文字も知りたい」という気持ちが生まれました。

まずは大文字から始めて、子どもの名前、家族の名前、好きな動物の名前など、身近なものから文字に親しんでいきます。

簡単な会話表現にチャレンジ 「What’s your name?」「I like apples」といった基本的な会話表現を、ごっこ遊びの中で練習します。お店屋さんごっこで「How much?」「Two hundred yen, please」といったやり取りを楽しむことで、実用的な表現を自然に覚えていきます。

英語教室を検討する場合のポイント

  • 少人数制(4〜6人程度)のクラス
  • 日本語での説明も交えてくれる環境
  • 子どもの個性を理解してくれる先生
  • 保護者が見学できる透明性の高い教室

成功例:段階的なアプローチ えりちゃん(仮名・現在7歳)のケースをご紹介します。えりちゃんのお母さんは、4歳の時から以下のような段階的なアプローチを取りました:

  • 4歳:家庭で英語の歌と絵本(週3回、10分程度)
  • 5歳:月2回の英語サークル参加(同世代の子どもたちと一緒に)
  • 6歳:週1回の英語教室(45分、少人数制)

この緩やかなステップアップにより、えりちゃんは英語に対する拒否反応を示すことなく、現在は「英語の時間が楽しみ」と話しています。

6-4. 小学生以降:「学習」として本格的にスタート

この時期の子どもの特徴

  • 論理的思考力の発達
  • 目標設定と達成への理解
  • 継続的な学習習慣を身につけやすい

おすすめのアプローチ

読み書きを含む総合的な学習 ひろきくん(仮名・小学2年生)は、1年生の終わりから英語学習を始めました。最初は「僕、遅いスタートかな?」と心配していましたが、すでに日本語の読み書きができるため、英語の文字や文法の理解がとても早く進みました。

プロジェクト型学習の導入 「好きな動物について英語で調べて発表する」「英語で簡単な日記を書く」といった、目標のある学習活動に取り組むことで、英語を「使う」体験を積み重ねます。

オンライン学習の活用 小学生になると、オンライン英会話なども選択肢に入ります。ただし、画面越しの学習に慣れるまで時間がかかる子もいるので、最初は短時間から始めることが大切です。

6-5. 年齢別アプローチの共通原則

どの年齢でも大切にしたい3つの原則があります:

原則1:母語(日本語)を最優先 英語学習の時間よりも、日本語での豊かなコミュニケーションの時間を多く取ることが、結果的に英語習得にも良い影響を与えます。

原則2:子どもの興味と発達に合わせたペース 「○歳だから○○ができるはず」ではなく、目の前の子どもの様子を見ながら、柔軟にアプローチを調整します。

原則3:「楽しい」が最優先 どんなに教育効果が高いとされる方法でも、子どもが楽しめなければ継続できません。「今日も英語で遊べて楽しかった」と思えることが、最も重要な成果です。

7. 家庭でできる!日本語力を伸ばしながらの英語導入法

7-1. 「両立」ではなく「相乗効果」を目指そう

多くの保護者の方が「日本語と英語、どちらも中途半端になってしまうのでは?」と心配されます。でも、正しいアプローチを取れば、日本語の学習が英語の理解を助け、英語との出会いが日本語への興味を深めるという、素晴らしい相乗効果を生み出すことができるのです。

7-2. 「翻訳遊び」から始める言語の橋渡し

基本の「翻訳遊び」

あきらくん(仮名・4歳3ヶ月)のお母さんが始めた「翻訳遊び」をご紹介します。公園で遊んでいる時、あきらくんが「お花、きれい!」と言ったら、お母さんは「英語では『Beautiful flower』って言うんだって。あきらくんの『きれい』と同じ意味なんだよ」と教えました。

この方法の素晴らしいところは、あきらくんがすでに持っている日本語の感情や概念を、英語という新しい「表現方法」と結びつけることです。「きれい」という感覚はあきらくんの中にしっかりとあるので、「Beautiful」は単なる音ではなく、意味のある言葉として理解されます。

発展形:感情の翻訳遊び

みなちゃん(仮名・5歳1ヶ月)のお母さんは、みなちゃんが「うれしい!」と言った時に、「英語では『Happy』だよ。みなちゃんの『うれしい』気持ちと同じなんだって」と伝えています。逆に、英語の歌で「Happy」という言葉が出てきた時は、「これは『うれしい』って意味だよ」と日本語に結びつけます。

7-3. 絵本の「二言語読み聞かせ」テクニック

同じストーリーの日本語版・英語版を活用

「はらぺこあおむし」と「The Very Hungry Caterpillar」のように、同じストーリーで日本語版と英語版がある絵本を活用します。

まず日本語版で十分にストーリーを理解してから、英語版を読みます。子どもはすでに内容を知っているので、英語の音やリズムに集中して聞くことができます。

「予測読み」を楽しもう

りょうたくん(仮名・3歳8ヶ月)は、「The Very Hungry Caterpillar」の「On Monday, he ate through one apple」の部分で、「apple」の前に少し間を置くと、「りんご!」と日本語で答えます。お母さんは「そう!英語では『apple』だね」と応えます。

この「予測読み」により、りょうたくんは英語の単語を「当てるゲーム」として楽しみながら覚えています。

7-4. 日常生活の中での「言語スイッチング」

場面別言語使い分け

ゆきちゃん(仮名・4歳6ヶ月)の家では、以下のような「言語使い分け」を楽しんでいます:

  • 朝の挨拶:「おはよう」→「Good morning」
  • 食事の前:「いただきます」→「Let’s eat」
  • 感謝の気持ち:「ありがとう」→「Thank you」

重要なのは、日本語を英語に「置き換える」のではなく、「どちらも大切な言葉だよ」という姿勢で教えることです。

身体を使った言語学習

「頭・肩・膝・つま先」の歌を、日本語と英語の両方で歌いながら体を動かします。最初は日本語で歌って体の部分を確認し、次に英語版で同じ動作をします。

ともくん(仮名・3歳5ヶ月)は、この歌が大好きで、「『Head』は『あたま』だよね?」と確認しながら歌っています。体の動きと一緒に覚えることで、言葉が自然に定着します。

7-5. 「質問上手」になる親の技術

子どもの気づきを引き出す質問

子どもが英語の歌を聞いている時、「この歌、なんか日本の歌と違うね。何が違うかな?」と質問してみます。子どもなりに「音が違う」「リズムが違う」といった気づきを言葉にすることで、言語への意識が高まります。

比較する楽しさを教える

なおちゃん(仮名・4歳2ヶ月)のお母さんは、「『犬』は英語で『Dog』だよ。『いぬ』と『Dog』、どっちが短い音かな?」といった質問をします。なおちゃんは「『Dog』の方が短い!」と発見を喜び、言語の違いに興味を持つようになりました。

7-6. 家庭学習の具体的タイムスケジュール

3歳児の場合:週3回、各10分程度

  • 月・水・金の夕食後
  • 5分:英語の歌1曲を親子で歌う
  • 5分:英語の絵本1冊を読み聞かせ

4歳〜5歳児の場合:週4回、各15分程度

  • 火・木・土・日の朝の時間
  • 5分:前回の復習(覚えた単語を一緒に言う)
  • 10分:新しい歌または絵本
  • 数分:「今日覚えた英語」を家族に教える

小学1年生以上の場合:週5回、各20分程度

  • 平日の宿題の後
  • 10分:英語の読み聞かせまたは音読
  • 10分:簡単な英語ゲームや歌

7-7. 失敗しないための3つの注意点

注意点1:完璧を求めすぎない

まさくん(仮名・3歳9ヶ月)のお母さんは、最初「発音が違う」「文法が間違っている」と細かく訂正していました。でも、まさくんは次第に英語を話すことを嫌がるように。

「まず楽しむこと、正確さは後から」という方針に変えたところ、まさくんは再び積極的に英語で遊ぶようになりました。

注意点2:日本語の時間を削らない

英語学習に熱心になるあまり、日本語での読み聞かせや会話の時間を削ってしまうのは本末転倒です。英語の時間は「追加」として考え、日本語でのコミュニケーションは今まで通り、むしろより豊かにしていくことが大切です。

注意点3:子どものサインを見逃さない

「疲れた」「もうやりたくない」「分からない」といった子どものサインが出た時は、無理に続けずに一旦休憩します。「今日はここまでにしようか。また明日、一緒に遊ぼうね」という声かけで、英語学習が嫌な思い出にならないようにします。

7-8. 家庭学習の効果を高める環境作り

英語コーナーの設置

リビングの一角に「英語コーナー」を作ります。英語の絵本、CD、簡単な単語カードなどを置いて、子どもがいつでも手に取れるようにします。ただし、「英語をやりなさい」という強制的な雰囲気にならないよう、他のおもちゃと同じように自然に置いておくことがポイントです。

家族みんなで楽しむ雰囲気

お父さんやお母さんも一緒に英語の歌を歌ったり、「今日覚えた英語を教えて」と興味を示したりすることで、英語学習が「特別な勉強」ではなく「家族の楽しい時間」になります。

記録より体験を大切に

「今日はこれができた」「これを覚えた」という記録よりも、「今日は楽しかった」「面白い発見があった」という体験を大切にします。子どもの学習は、楽しい記憶と結びついた時に最も効果的に定着するからです。

8. 英語教材・教室選びで失敗しないための5つのチェックポイント

8-1. チェックポイント1:「費用の透明性」を必ず確認

初期費用だけでなく、継続費用も含めた総額を把握

さやかちゃん(仮名・4歳)のお母さんは、英語教室の体験レッスンで「月謝8,000円」という説明を受けて入会しました。ところが、実際に始まってみると、教材費(年間24,000円)、発表会参加費(5,000円)、夏期講習費(15,000円)など、様々な追加費用がかかることが判明。結果的に年間の総費用は15万円を超えてしまいました。

確認すべき費用項目チェックリスト

  • 入会金・月謝以外の必要経費
  • 教材費(年間総額、途中での追加購入の有無)
  • イベント・発表会・検定試験の参加費
  • 振替レッスンの料金
  • 休会・退会時の手続き費用
  • 進級時の追加費用

適正価格の目安

  • 0歳〜3歳:月額6,000円〜12,000円程度
  • 4歳〜6歳:月額8,000円〜15,000円程度
  • 小学生:月額10,000円〜18,000円程度

ただし、地域や指導内容によって差があるため、複数の教室を比較検討することが重要です。

8-2. チェックポイント2:「子どもの発達段階」に合ったカリキュラム

年齢相応の学習内容かどうかを見極める

ゆうくん(仮名・3歳2ヶ月)が通った英語教室では、3歳児クラスでも「アルファベットの書き取り」や「単語のスペル暗記」が課題として出されていました。まだ日本語のひらがなも書けないゆうくんには、この内容は明らかに早すぎました。

年齢別適切なカリキュラムの例

2歳〜3歳クラス

  • 歌やリズム遊びが中心
  • 体を動かしながらの学習
  • 単語の暗記より、音に慣れ親しむ
  • レッスン時間:30分以内

4歳〜5歳クラス

  • 簡単な会話表現の練習
  • ゲームや工作を通じた学習
  • アルファベットに触れる程度
  • レッスン時間:40分〜45分

小学生クラス

  • 読み書きを含む4技能の学習
  • 文法の基礎的な理解
  • 簡単な英作文や発表活動
  • レッスン時間:50分〜60分

8-3. チェックポイント3:講師の質と教室の方針

講師の資格・経験・子どもへの接し方

みきちゃん(仮名・4歳8ヶ月)の最初の英語教室では、ネイティブスピーカーの先生が「English only policy(英語だけで指導)」を厳格に守っていました。みきちゃんが困った顔をしていても、日本語での説明は一切なし。結果として、みきちゃんは「分からない時間」が長くなり、英語への不安を感じるようになってしまいました。

良い講師の見分け方

  • 子どもの表情や反応をよく観察している
  • 理解できていない時は、別の方法で説明を試みる
  • 日本語での補足説明を適切に使える(バイリンガル講師の場合)
  • 子どもの個性や発達ペースを理解している
  • 保護者とのコミュニケーションを大切にしている

体験レッスンでチェックすべきポイント

  • 子どもがリラックスして参加できているか
  • 講師が子ども一人ひとりに注意を向けているか
  • クラスの進行が年齢に適したペースか
  • 子どもが「楽しい」と感じているか

8-4. チェックポイント4:クラスサイズと個別対応

適切なクラスサイズ

ひなちゃん(仮名・3歳6ヶ月)が最初に通った教室は、1クラス12名の大人数制でした。内気なひなちゃんは、なかなか発言する機会がなく、3ヶ月通っても「Hello」すら恥ずかしがって言えませんでした。

その後、4名の少人数制教室に移ったところ、先生がひなちゃんの性格を理解してくれて、「小さな声でもいいよ」「お友達と一緒に言ってみようか」といった配慮をしてくれました。半年後には、ひなちゃんも積極的に英語で話すようになりました。

年齢別推奨クラスサイズ

  • 2歳〜3歳:3名〜5名
  • 4歳〜5歳:4名〜6名
  • 小学生:6名〜8名

個別対応の確認ポイント

  • 人見知りの子への配慮があるか
  • 学習ペースの個人差に対応してくれるか
  • 日本語でのフォローが必要な時の対応
  • 子どもの興味・関心に合わせた話題提供

8-5. チェックポイント5:家庭との連携と継続性

家庭での取り組みに対するサポート

良い英語教室は、レッスンで終わりではなく、家庭での英語体験もサポートしてくれます。

たろうくん(仮名・5歳1ヶ月)の通う教室では、毎月「家庭での英語遊び」のアイデアを載せたお便りが配られます。「今月習った歌を、お風呂で一緒に歌ってみてください」「散歩の時に見つけた色を英語で言ってみてください」といった、日常生活に取り入れやすい提案がされています。

継続性を支える仕組み

  • 年間を通じたカリキュラムの一貫性
  • 進級時のスムーズな移行サポート
  • 長期欠席時の対応やフォロー
  • 子どもの成長記録や評価の共有