「来年小学校なんだけど、就学時健診って何をするの?」「知能検査で引っかかったらどうなるの?」「発達がゆっくりなわが子でも大丈夫?」——このページを読み終えれば、当日の流れ・知能検査の具体的な課題・引っかかった後の対応・持ち物・声かけのコツまで、すべて明確になります。
この健診の正式名称は「就学時健康診断」で、学校保健安全法という法律で市区町村に実施が義務づけられています。通称として「就学時健診」と呼ばれることが最も多く、ほかに「就学前検診」「就学前健診」「入学前健診」といった呼び方も広く使われています。どれも同じものを指します。自治体から届く通知には「就学時健康診断のお知らせ」と書かれていることが多いので、探すときはこの名称で確認してください。以下、本記事では通称の「就学時健診」を使います。
- 就学時健診の当日の流れを時系列で(受付〜終了まで)
- 内科・歯科・眼科・耳鼻科+発達検査の検査内容の詳細
- 知能検査の具体的な課題内容と「IQテストとは違う」という重要な事実
- 引っかかった場合の再検査・就学相談の流れ
- 当日の持ち物・服装・声かけのNG/OK
- 発達が気になる子への特別支援の選択肢
就学時健診(就学時健康診断)とは?基本的な概要
就学時健診(正式名称:就学時健康診断)は、学校保健安全法第11条に基づく法定検診です。翌年4月に小学校へ入学予定の全ての子どもが対象となり、各市町村教育委員会が主催します(各自治体の公式サイトより)。就学時健診と並行して行われる小学校入学説明会で聞くこと、学用品全体の準備は小学校入学準備必要なもの完全チェックリストもあわせてご覧ください。
多くは10〜11月
時点で満6歳の子
小学校・指定会場
受付〜終了まで
- 健康状態の把握——乳幼児健診(多くの市区町村では3歳が最後)から就学まで見逃されてきた疾病や異常を発見し、入学前の治療につなげる
- 発達状況の確認——認知・言語・運動・情緒など学習に必要な基礎力を評価する
- 特別な支援の必要性の早期把握——適切な教育環境(通常学級・通級・特支学級)への振り分けに関わる情報を収集する
就学時健診は「医学的な確定診断を行う場ではない」。あくまで「適切な治療や支援機関に結びつける」スクリーニングです。知能検査でIQが測定されるわけでも、発達障害が確定診断されるわけでもありません。この前提を知るだけで不安の多くが消えます。
当日の流れ(時系列)——何が起きるかを把握して安心して臨む
多くの保護者が最も不安に感じるのは「何が起きるかわからない」こと。実際の流れを時系列で整理します(各自治体・学校により異なる場合あり)。
就学時健診の検査内容——内科・歯科・眼科・耳鼻科の詳細
知能検査の具体的な課題内容——「IQテストではない」という重要な事実
就学時健診の知能検査は「数分で行われる簡易スクリーニング」です。IQや知能指数を算定できるようなものではなく、「4歳程度の発達をクリアしているかを確認する」ための観察が主目的です。緊張・場所見知り・心理的要因で本来の力が出ないこともよくある、と専門家は説明しています。
知能検査の代表的な課題一覧
自治体によって課題は多少異なりますが、共通して出てくるのは次の6つの形式です。すべて口頭のやりとりか、絵に丸をつける・線で結ぶといった簡単な作業で、字を書かせる課題はありません。
課題の例:果物・乗り物・動物などの絵を見せられ「これは何?」と聞かれる。
家庭でできること:絵本や図鑑を見ながら「これなんだ?」と聞き合う遊びを普段からしていれば十分です。
課題の例:「赤いおはじきを3つ取ってください」「積み木を2つ、こっちに置いて」など。
家庭でできること:お手伝いのときに「スプーンを4本出して」のように、色や数を含む指示を混ぜてみると練習になります。
課題の例:4つの絵のうち、ひとつだけ違う仲間のものに丸をつける(りんご・みかん・ぶどう・くるまなど)。
家庭でできること:おもちゃの片づけで「これは food の仲間」「これは乗り物の仲間」と分けて遊ぶだけで、この考え方に慣れます。
課題の例:「同じ数どうしを線で結ぶ」「多いほうに丸をつける」。
家庭でできること:おやつを分けるときに「どっちが多い?」と聞く、階段を数えながら上る、といった日常の中で自然に身につきます。
課題の例:質問に答える中で、聞き取りにくい音がないかを見ています。
家庭でできること:特別な練習は不要です。気になる音がある場合は、この機会に相談してみてください。
課題の例:課題そのものではなく、検査中の様子全体が対象です。
家庭でできること:ここが一番差が出やすい部分ですが、当日だけ取り繕えるものでもありません。普段どおりで大丈夫です。
- 字は書かせません——筆記形式の課題でも、丸をつける・線を引くのが中心です。ひらがなが書けなくても不利になりません
- 合否を決めるものではありません——できなかった課題があっても「不合格」にはなりません。支援が必要かどうかを確認するための観察です
- 数分で終わります——じっくり時間をかけて能力を測るものではなく、簡易的なスクリーニングです
- 緊張して力が出せないのは普通です——初めての場所、知らない先生、大勢の子ども。この条件で普段どおりできるほうが珍しいくらいです。検査する側もそれを前提に見ています
直前に詰め込む必要はありません。効果があるのは次の3つです。①睡眠を十分にとる——眠い状態では、できることもできません。②「何をしに行くか」を子どもに説明しておく——「小学校に行って、目とか耳を見てもらうんだよ。お名前を聞かれたら答えてね」程度で十分です。何も知らされずに連れて行かれると不安で固まってしまいます。③トイレを済ませておく——待ち時間が長くなることがあります。この3つ以外は、当日の朝に慌ててやることはありません。
3歳児健診で何か指摘を受けた経験があるご家庭は、就学時健診でも同じ不安がよみがえりやすいと思います。3歳児健診での指摘がその後どうなるのかは3歳児健診で引っかかったら【2026年版】にまとめてあります。この3年間で何が変わったかを整理しておくと、就学相談でも状況を伝えやすくなります。
健診結果の種類と対応方法
「要観察」「要精密検査」だった場合——科目別の次の一手
| 科目 | よくある指摘 | 次の一手 | 入学への影響 |
|---|---|---|---|
| 歯科 | 虫歯(未治療)・初期虫歯 | かかりつけ歯科で治療 | 入学前治療を推奨 |
| 眼科 | 視力0.7未満・斜視 | 眼科受診・必要なら眼鏡処方 | 斜視・弱視は早期治療が最重要 |
| 耳鼻科 | 軽度難聴・滲出性中耳炎 | 耳鼻科受診(自覚症状が少ない) | 座席配置(前列)で対応可能な場合も |
| 内科 | 心雑音・皮膚疾患 | 専門医での精密検査 | 多くは機能性・経過観察のみ |
| 発達 | 知能検査の引っかかり・言語遅れ | 再検査→就学相談(詳細下記) | 入学後の支援体制検討に活用 |
発達面で引っかかった場合——再検査・就学相談の流れ
発達面への指摘を受けた保護者が最も不安になる部分です。段階的な流れを整理します。就学相談の詳しい進め方は発達グレーゾーンの子の就学相談【完全ガイド】、支援サービス全体の比較はグレーゾーンの子どもへの支援サービス完全比較で解説しています。
ステップ1:就学時健診後の再検査(簡易版)
再検査の内容は初回検診とほぼ同じ知能検査・言葉の検査を「より丁寧に」行います。「この課題のどこにつまずいているか」「緊張が原因だったのか」「集団に不慣れだったのか」まで含めて観察します。つまり初回で緊張していたなら、再検査で正確な結果が出る可能性が十分あります。
ステップ2:就学相談(より詳しい発達検査)
就学相談では、臨床心理士等の専門家が1時間程度で本格的な発達・知能検査を実施します。代表的な検査として「田中ビネー知能検査V」「WISC-V知能検査」などがあります。ここで初めてIQが測定されます。費用は健康保険適用で3,000〜5,000円程度。
重要なのは「就学相談の最終決定権はあくまでも子ども本人と保護者にある」ということ。教育委員会の判断と保護者の希望が異なる場合は、相談を継続することができます。
| 発達面の指摘 | 具体例 | 相談先 | 家庭でできること |
|---|---|---|---|
| 注意・集中 | 話を最後まで聞けない・じっとできない | 児童発達支援センター・小児科 | 短時間の活動から積み上げる |
| 言語発達 | 語彙が少ない・発音が不明瞭 | 言語聴覚士のいる療育機関 | 絵本の読み聞かせ・ゆっくり話す |
| 対人関係 | 集団での行動が難しい | 発達障害者支援センター | 小さなグループ遊びの機会を作る |
| 学習準備 | ひらがなが読めない・数の概念が弱い | 教育委員会・就学相談 | 文字・数に親しむ遊びを日常に |
特別支援教育の選択肢——早めに知っておくと安心
それぞれの違いをより詳しく知りたい場合は加配・通級・特別支援学級・特別支援学校の違いを完全解説をご覧ください。
| 教育の場 | 対象 | 特徴 | メリット |
|---|---|---|---|
| 通常学級 | 軽微な困り感 | 一般的な学級 | 多様な友達との交流・通常カリキュラム |
| 通級指導教室 | 軽度の障害 | 週1〜2回の取り出し指導 | 通常学級在籍のまま専門的支援 |
| 特別支援学級 | 中程度の障害 | 少人数での個別指導 | きめ細かな指導・安心できる環境 |
| 特別支援学校 | 重度の障害 | 専門設備・専門スタッフ | 高度に専門的な支援 |
- 理想的なスタート:入学1年前の4〜5月頃から相談を開始
- 就学時健診後なら:11月頃に結果を受け取り次第、すぐに相談開始
- 遅くとも:入学年度の2月末まで
- 準備する資料:これまでの発達検査結果・医療機関での診断書(あれば)・保育園/幼稚園の担任所見・家庭での様子のメモ(困っていること・うまくいっていること)
事前準備——1か月前から始めること
当日の持ち物チェックリスト
- 脱ぎ着しやすい服装——内科検診で上半身を見せる必要がある
- 清潔な下着——必須
- 髪型は耳が見えるように結んでおく——耳鼻科検診のため。これを知らずにNG服装で来てしまう保護者も多い重要ポイント
- 動きやすい靴——歩行・運動機能の観察がある
- ボタンが多い・締め付けの強い服は避ける
検診1か月前からできる生活面の準備
- 生活リズムの調整——早寝早起きの習慣化(検診は午前中が多い)・朝食をしっかり摂る習慣
- 社会性の確認——自分の名前・年齢をはっきり言える練習・「はい」という返事・簡単な指示に従える
- 検査への慣れ——視力検査(C型の向きを答える練習)・聴力検査の説明(ヘッドホンをつけて音が聞こえたら手を上げる練習)・薄着になることへの慣れ
子どもの心理的準備——声かけのNG/OK
健診が終わったら、次は入学説明会と入学準備です。説明会で必ず聞いておきたいことは小学校入学説明会で聞くこと【2026年版】、そろえる物のリストは小学校入学準備必要なもの完全チェックリストにまとめています。ひらがなや数がまだ不安な場合は就学前の発達目安と焦らない対応法、家庭での練習の進め方はひらがな学習でイライラする理由と解決策が参考になります。
よくある質問(Q&A)
- 1か月前から生活リズムを整える——早寝早起き・朝食・名前と年齢を言える練習
- 当日の服装は「脱ぎやすく・髪は耳が見える状態に」——これだけで当日の検診がスムーズになる
- 知能検査はIQテストではなく、4歳レベルの簡易スクリーニング——引っかかっても確定診断ではない
- 「要観察」は15〜20%の子が受ける——珍しくない——焦らず専門家の指示に従う。ひっかかりやすいのは歯科・視力
- 発達に心配があれば検診前から専門機関に相談しておく——就学相談の最終決定権は保護者にある
就学時健診は「評価される場」ではなく「お子さんに必要なサポートを見つける場」です。結果にかかわらず、検診を入学準備のスタート地点として活用してください。
※就学時健康診断は学校保健安全法にもとづき、各市区町村の教育委員会が実施します。実施時期・検査項目・持ち物・当日の流れは自治体によって異なるため、必ずお住まいの自治体から届く通知および教育委員会の公式案内をご確認ください。検診結果や発達に関する具体的な判断は、各市区町村教育委員会および専門の医療機関にご相談ください。最終更新:2026年8月11日。
