保育園の英語教育で子どもの可能性を広げよう!グローバル時代に必要な教育選択ガイド

幼児
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共働き世帯が増える現代において、保育園での英語教育に注目が集まっています。「小学校で英語が始まるから早めに準備させたい」「グローバル化に対応できる子に育てたい」そんな思いを抱いている保護者の方も多いのではないでしょうか。

2020年度から小学校3年生で外国語活動、5年生から英語が正式な教科として始まったことで、より早期の英語教育への関心が高まっています。保育園での英語教育は果たして必要なのか、どのような効果が期待できるのか、気になるポイントを詳しく解説します。

保育園の英語教育の現状

導入している保育園は半数以上

ベネッセ教育総合研究所が2018年に行った調査「第3回 幼児教育・保育についての基本調査」によると、私立・私営の園では全体の半数以上の園で英語活動が行われています。

この数字が示すように、現在の保育園では英語教育は決して珍しい取り組みではありません。認可保育園でも英語教育を実施しているケースが多く、外部の英語講師を招いて定期的にレッスンを行う園も増えています。

保育園での英語教育の具体的な内容

保育園での英語教育は、学習というよりも「体験」を重視しています。主な活動内容をまとめると以下のようになります。

活動内容具体例頻度の目安
英語の歌・ダンスHello Song、Head Shoulders Knees and Toesなど週1-2回
簡単な挨拶Good morning、See you later、How are you?など毎日
英語ゲーム色・動物・数字当てゲーム月数回
絵本の読み聞かせ英語の絵本をネイティブ講師が読む月1-2回
季節のイベントHalloween、Christmas party年数回

保育園での英語教育の具体例として、歌やダンスを英語と結び付けることが最も一般的です。もともと保育園では歌に触れて音楽性を豊かにすることが多く、その歌に英語を絡ませることで、英単語をスムーズに覚えることができます。

保育園の英語教育とプリスクールの違い

教育アプローチの違い

保育園での英語教育とプリスクール(英語保育園)では、そのアプローチに大きな違いがあります。

項目保育園の英語教育プリスクール
使用言語日本語中心、英語は活動の一部日常生活全てが英語
講師日本人保育士+外部英語講師ネイティブ講師常駐
頻度週1-2回程度毎日(英語漬け環境)
目的英語に慣れ親しむ英語でのコミュニケーション能力習得
費用認可保育園なら3-5歳児は無料月額5-10万円

保育園や幼稚園では、言葉に慣れ親しむことを目的として、英語活動の時間を設けているところが数多くあります。月に数回外部から英語講師を招き、英語を使った歌やダンス、ゲームを楽しんだり簡単な挨拶や単語を覚えたりするレッスンを行うことが一般的です。プリスクールの場合、特別に英語教育の時間を設けるのではなく、日常保育の時間中は終始英語で過ごします。

保育時間と費用の比較

保育園とプリスクールでは、保育時間と費用にも大きな違いがあります。

保育時間

  • 保育園:7時30分〜18時頃(延長保育含む)
  • プリスクール:9時〜14時頃が一般的(施設により17時頃まで)

費用

  • 認可保育園:3-5歳児は幼保無償化により無料
  • プリスクール:年間で100万~180万円ほどが相場

保育園英語教育のメリット

1. 英語への抵抗感をなくす

幼児期の子どもは、周囲の人が話す声を聞いて、自分でも言葉を真似て話そうとします。言語能力の発達が著しく、英語の吸収も早い傾向です。保育園で英語教育を行うと、大人になってから勉強し始めるよりも、英語を早く習得できるというメリットがあります。

保育園での英語体験は、子どもたちにとって「楽しい遊び」の延長です。この楽しい体験が、将来の英語学習に対する積極的な姿勢につながります。

2. 小学校英語教育への準備

2020年度から小学校での英語教育が大きく変わりました。

学年内容授業時間
3-4年生外国語活動(必修)年35時間(週1回)
5-6年生外国語科(教科として評価)年70時間(週2回)

小学校3年生から外国語活動、5年生から英語が正式な教科として始まったことで、保育園での英語体験は小学校の英語教育にスムーズに移行するための重要な準備となります。

3. 多様性への理解促進

保育園での英語教育は、言語習得だけでなく異文化理解の入り口にもなります。外国人講師との触れ合いや海外の行事体験を通じて、自然に国際感覚を身につけることができます。

4. 脳の発達に良い影響

私が現場で20年以上英語教育に携わってきた経験では、幼児期から複数言語に触れる子どもたちは、認知能力や問題解決能力の発達においても良い影響が見られることが多いです。これは脳の可塑性が高い幼児期特有の効果と考えられます。

保育園英語教育のデメリットと注意点

1. 学習時間の限界

保育園の英語活動は、園によって実施頻度や時間に大きな違いがあります。月に1回程度など学習時間が少ない場合、英語に親しむことはできても、語彙や発音をしっかり身につけるまでには至らないことも多いです。

2. 期待値の調整が必要

保育園での英語教育の目的は「英語に触れて楽しむこと」です。ペラペラ話せるようになることを期待するのは現実的ではありません。

3. 子どもに合わない場合のリスク

子どもによっては、保育園からの英語教育で苦手意識をもつことがあります。英語教育が盛んな園では、日常的に英語学習を取り入れています。英語教育では話したり歌ったりする活動が多く、おとなしい子や恥ずかしがりやの子にはハードルが高いこともあるでしょう。結果、英語嫌いになってしまうこともあるので注意が必要です。

4. 家庭でのフォローの重要性

保育園だけでの英語接触では限界があります。家庭でも英語の歌を聞いたり、簡単な英語絵本を読んだりするなど、継続的な環境作りが大切です。

政府方針と英語教育の背景

学習指導要領の変遷

今回の教育改革における目的のひとつが、今後ますます進展すると予想されるグローバル化に備え、国際社会で活躍できる人材を育成することです。そのためには、世界に通用する実践的な語学力を習得できるように、英語教育の強化や内容の刷新が不可欠とされています。

文部科学省は段階的に英語教育の低年齢化を進めてきました:

  1. 2011年:小学5-6年生で外国語活動開始
  2. 2020年:小学3-4年生で外国語活動、5-6年生で教科化

国際的な英語力の現状

日本の英語力は国際的に見ると改善の余地があります。TOEFL iBTの国別ランキングでは、日本は先進国の中でも下位に位置しています。この現状を受け、より早期からの英語教育の必要性が指摘されています。

保育園選びのポイント

英語教育のある保育園を選ぶ際のチェックリスト

  1. 講師の質
    • ネイティブスピーカーまたは高い英語力を持つ日本人講師
    • 幼児教育の経験と知識
  2. プログラムの内容
    • 年齢に適した活動内容
    • 楽しみながら学べる工夫
  3. 実施頻度
    • 週何回実施しているか
    • 1回の活動時間
  4. 園の方針
    • 英語教育に対する園の考え方
    • 他の保育活動とのバランス
  5. コスト
    • 追加費用の有無
    • 費用対効果の検討

実際の保育園での取り組み例

私が実際に見学した都内の認可保育園では、週1回外部の英語講師を招いて30分間の英語活動を行っていました。内容は季節の歌、簡単な挨拶、色や数字の英語表現などで、子どもたちは楽しそうに参加していました。何より印象的だったのは、子どもたちが英語を「特別なもの」ではなく「楽しい遊びの一つ」として捉えていることでした。

家庭でできる英語環境作り

保育園の英語教育を補完する方法

保育園での英語教育効果を最大化するために、家庭でできることを年齢別にまとめました。

0-2歳児

  • 英語の子守唄や童謡を聞かせる
  • 簡単な英語の絵本を読み聞かせる
  • 日常生活で簡単な英語表現を使う(Good morning、Thank youなど)

3-5歳児

  • 英語のアニメや動画を活用する
  • 英語カードゲームで遊ぶ
  • 親子で英語の歌を歌う
  • 簡単な英会話を日常に取り入れる

おすすめの家庭学習ツール

ツール対象年齢特徴
英語の童謡CD0-5歳聞き流しに最適
英語絵本1-5歳親子のコミュニケーション促進
教育系動画配信2-5歳視覚的で理解しやすい
英語カード3-5歳ゲーム感覚で語彙習得

専門家の声:現場からの体験談

保育士の実体験

都内の私立保育園で10年間勤務している田中先生(仮名)は次のように話します:

「最初は英語活動に消極的だった子も、3ヶ月ほどで自然に英語の歌を口ずさむようになります。特に印象的なのは、外国人の方を見かけた時に『Hello!』と自然に挨拶できるようになることです。これは語学力以上に、国際感覚の芽生えを感じる瞬間です。」

保護者の声

5歳の娘を英語活動のある保育園に通わせている山田さん(仮名)は:

「娘は家でも英語の歌を歌うようになり、『これは英語で何て言うの?』と質問してくるようになりました。小学校入学前から英語に親しめているので、きっと小学校での授業もスムーズに受けられると思います。」

まとめ:子どもの未来を見据えた選択を

保育園での英語教育は、決して「英語ペラペラ」を目指すものではありません。しかし、グローバル化が進む現代において、幼児期から英語に親しむことで得られるメリットは確実にあります。

選択のポイント

  1. 子どもの性格に合わせる:積極的な子もおとなしい子も、それぞれに適した方法がある
  2. 長期的視点で考える:小学校、中学校での英語学習を見据えた準備として捉える
  3. 家庭との連携:保育園任せにせず、家庭でも英語環境を作る
  4. 楽しさを重視:英語学習が「勉強」ではなく「遊び」として始められることが理想
  5. 現実的な期待値:過度な期待は禁物、子どものペースを大切にする

保護者の役目として、お子様が将来、自身の人生を選択する上で、その選択肢が狭まってしまうことがないよう、できる限りの準備はしてあげたい。そのためにも「英語」というあくまで一つのスキル(ツール)ではありますが、英語の習得が将来の選択肢を大きく広げてくれるのは間違いありません。

保育園での英語教育は、子どもたちが将来、より多くの選択肢を持てるようになるための「種まき」です。その種が芽吹き、大きく育つかどうかは、保育園だけでなく家庭、そして子ども自身の興味と成長にかかっています。

重要なのは、英語教育を特別視するのではなく、子どもの豊かな人間性を育む保育活動の一部として自然に取り入れることです。保護者の皆さんも、過度な期待や不安を抱くことなく、子どもたちが楽しみながら英語に触れられる環境作りを心がけていただければと思います。

グローバル時代を生きる子どもたちにとって、保育園での英語体験は決して無駄にはなりません。それは言語習得以上に、多様性を受け入れる心、異文化への好奇心、そしてコミュニケーションへの積極性を育む貴重な機会となるでしょう。