1歳半で指差しをしない原因と練習方法|発達障害との見分け方・健診での見方・相談先まで【保護者向け完全ガイド】

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「1歳半健診で指差しができないと言われた」「1歳半になるのにまだ指差しをしない」——この不安を抱えてこのページを開いた保護者の方へ。

まず最初に伝えたいのは、指差しができないこと単体で発達障害とは言えないということです。一方で「様子を見ましょう」だけでは不安が残ることも事実です。本記事では、指差しの種類と意味・本当に心配が必要な時の見分け方・今日から家でできる練習方法・相談先の選び方まで、保護者が実際に必要な情報を正確にまとめます。

指差しの「種類」を正しく理解する:なぜ健診で確認するのか

指差しが1歳半健診の重要チェック項目になっている理由は、単に「指が使えるか」を見るためではありません。指差しは「三項関係」が成立しているかを確認する行動だからです。

三項関係とは「自分・相手・もの」の3つが同時に結びつく関係のことです。たとえば子どもが犬を見て指差し、親の顔を見て「見て!」と共有しようとする——この行動は、言葉が出る前から「他者と何かを共有したい」という社会性の芽生えを示しています。三項関係は言語発達・社会性・コミュニケーション全般の土台となるため、非常に重要な発達指標です。

指差しの4つの種類と発達の目安

指差しにはいくつかの種類があり、それぞれ発達段階が異なります。「健診で見るのは何の指差しか」を知っておくことが大切です。

1
要求の指差し
🕐 目安:1歳前後〜
「あれが欲しい・あそこに行きたい」という要求を伝えるための指差し。自分の欲求を伝えるためなので比較的早く出ることが多い。
2
叙述(共感)の指差し
🕐 目安:1歳〜1歳半ごろ
「あそこに犬がいるよ」と大人に伝えて一緒に見たい・共感したいという指差し。三項関係の成立を示す最も重要な指差し。1歳半健診で主に確認される。
3
応答の指差し
🕐 目安:1歳半〜2歳ごろ
「犬はどれ?」と聞かれた時に正しいものを指す。言語理解と指差しの組み合わせ。健診では「○○はどれ?」という問いかけで確認することが多い。
4
探索・質問の指差し
🕐 目安:1歳半〜2歳以降
「あれは何?」と知りたいものを指して大人に教えを求める。好奇心・言語習得への強い意欲のサイン。発達のより高度な段階。
📌 1歳半健診で見ているのはどれ?

1歳半健診で最重要とされるのは「叙述(共感)の指差し」です。「犬がいるよ!」と大人に伝えようとする、共有・共感の指差しが出ているかどうかが社会性の発達の大きな指標になります。「欲しいもの・行きたい場所を指す(要求の指差し)」だけでは、社会的共有という点では不十分とみなされることがあります。

「手差し」や「視線での指示」でも代替される場合がある

指差しは人差し指一本で指すことが典型ですが、手全体を使って方向を示す「手差し」も同様の発達指標として評価されます。また、視線をあわせながら何かをじっと見て、大人の目を見てまた見る——という「視線での共有」も、指差しと同じ社会性の発達を示す行動です。

「指差しはしないが、手差しや視線で『見て』と伝えている」場合は、指差しの形式が違うだけで三項関係は成立している可能性があります。健診で指摘された場合も、このような他の共有行動があるかどうかを担当者に伝えることが重要です。

指差しをしない「原因」の整理

①発達の個人差(最も多いケース)

指差しの出始める時期には大きな個人差があります。言語理解が先行して身体表現が遅れるタイプ、慎重な性格で確信を持つまで表現しないタイプなど様々です。他の発達(歩行・言語理解・社会への関心・模倣)が概ね順調であれば、指差し単体の遅れは経過観察で改善することが多いです。

②環境・経験の不足

指差しは模倣から発達します。周囲の大人が指差しをする場面が少ない環境では、子どもが指差しを習得する機会が減ります。また、スマートフォンやテレビを主な視覚刺激にしている場合、双方向の共有体験が乏しくなることがあります。これは「改善できる」要因です。

③聴覚の問題

聞こえに困難があると、名前を呼んでも振り向かない・言語理解が遅れる・応答の指差しが出ないなどの形で影響します。1歳半健診では聴覚のチェックも行われますが、日常生活での聴覚の確認も重要です。聞こえが心配な場合は耳鼻咽喉科への相談も検討してください。

④発達特性(ASD等)による影響

自閉スペクトラム症(ASD)の特性として、共感・共有の指差し(叙述の指差し)が出にくい場合があります。ただし指差しの遅れだけでASDを判断することはできません。他の特性(社会的関心・模倣・アイコンタクト・感覚の特異性等)との組み合わせで総合的に評価されます。

本当に心配すべきかの判断基準

指差し単体ではなく「複数の領域」で判断する

指差しが出ていないことより、以下の複数の観察ポイントを組み合わせて確認することが重要です(LITALICOをはじめ医師監修の専門機関が共通して強調している点)。

📋 専門機関への相談を検討するサインの組み合わせ
!
共同注意の行動全般がない:指差しだけでなく、視線での共有・手差し・興味あるものを見せに来るなども見られない
!
名前を呼んでも振り向かないことが多い:聴覚の問題または社会的関心の低さの可能性がある
!
模倣をほとんどしない:手遊び・バイバイなど大人の動作を真似しない
!
アイコンタクトが少ない:要求の時にも親の顔を見ずに行動する
!
言語理解の遅れも重なる:「ちょうだい」「だめ」などの簡単な指示が通らない
!
2歳を過ぎても指差しが全く出ない:この場合は専門機関への相談を積極的に検討する
経過観察でよい可能性が高いケース:指差しはまだだが、アイコンタクト・模倣・名前への反応・親への関心は見られる

M-CHAT(乳幼児期自閉症チェックリスト)について

M-CHATは16〜30か月の乳幼児を対象とした自閉スペクトラム症のスクリーニングツールで、一部の小児科や健診で使用されています。指差し関連の項目を含む23の質問から構成されています。

重要な点として、M-CHATはスクリーニング(ふるい分け)であり診断ではありません。陽性(懸念あり)が出ても、その多くは精密検査で発達障害の診断には至りません。あくまで「専門家への相談をすすめる目安」として機能します。

インターネットで日本語版を検索して確認できますが、結果の解釈は必ず専門家に相談してください。

家庭でできる指差し練習:段階別の方法

以下の方法は「指差しを強制的に教える」ためではなく、「指差しが自然に出やすい環境・経験を増やす」ためのものです。焦らず、楽しみながら取り組んでください。

ステップ1:共同注意の土台を作る(まず親が先にやって見せる)

1「見て」「あ!」で一緒に見る習慣をつける
大人が先に指差しして「あ、犬がいるよ!」「見て、バスが来た!」と声をかけ、子どもと一緒に見る経験を積み重ねる。子どもに「やらせる」ではなく、大人が毎日やって見せることが先決。子どもは模倣から指差しを習得する。
2散歩・外出中の「実況中継」
「電車が来た!ほら、あそこ」「あの花きれいだね」と指差しを見せながら話しかける。動くもの(車・鳥・動物)は子どもの視線を誘いやすく、指差しが生まれやすい。窓の外を一緒に見る時間も有効。

ステップ2:絵本を使った自然な練習

3「これ何?」より「どれどれ?」
絵本を読みながら「犬はどこにいるかな?」と聞いて、大人が先に指差して見せる。子どもが見た方向を見たら「そうそう、ここにいたね!」と反応する。子どもが指差しする前に、まず大人が指差す姿を見せる量を増やすことが重要
4仕掛け絵本・めくり絵本の活用
めくると絵が変わる絵本は、子どもが自発的に「何が出るか」を期待して手を動かしやすい。手を動かす→指を使う→指差しへの移行という流れが生まれやすい。「いないいないばあ」も同様の効果がある。

ステップ3:日常生活への組み込み

5食事中の「どっちにする?」
「バナナとイチゴ、どっちが食べたい?」と2択を見せて選ばせる。最初は手を伸ばすだけでもOK。選ぶ動作から徐々に指が使われるようになる。選択が正解した時の「うれしい」という体験が動機を高める。
6お風呂での「あわあわ指さし遊び」
泡を作って「あそこに泡があるよ」と大人が指差し→子どもが見る→「あった!」と反応。風呂の壁に付いた泡を指差すのを一緒に楽しむ。リラックスした状態での遊びは自発的な行動が出やすい。
7「プロンプト・フェーディング」法(段階的な手がかりの減らし方)
①大人が子どもの手をとって一緒に指差し→②手首を軽く触れて方向を示す→③肘を軽く触れる→④「あれ見て」の声かけだけ→⑤自発的を待つ。段階を踏んで手がかりを減らしていく療育現場でも使われる方法。無理に急がず、子どもが楽しんでいる場面でのみ使う。

指差しを促すおすすめの知育玩具・絵本

種類具体例指差しへの効果目安月齢
音声ペン絵本アンパンマンことばずかん(バンダイ)ペンで指す→音が出る。「指す→反応がある」体験を積める1歳〜
めくり絵本いないいないばあ(松谷みよ子)期待感から手を動かす自発的な行動が出やすい0歳〜
動物・乗り物絵本どうぶつのおかあさん等(写真絵本)実物写真が「見て!」の共感を生みやすい1歳〜
指先知育玩具ボタン・穴に入れる系おもちゃ人差し指単独の動きを育てる10か月〜
シールはがし台紙100均のシールブック等指先の分離と「つまむ」動作を育てる1歳〜

専門機関への相談:タイミングと相談先

「1歳半健診で経過観察」と言われた場合の動き方

「経過観察」は「異常」ではなく「もう少し様子を見ましょう」という意味ですが、具体的に何をするかが重要です。

📌「経過観察」と言われたら確認すること
  • 「いつまで様子を見るか」を具体的に聞く——「次の3歳健診まで」では長すぎる場合がある
  • 「どういう変化が見られたら再相談か」を確認する——判断の目安を明確にしてもらう
  • 不安が強ければ健診を待たず保健センターや小児科に相談する——相談は「大げさ」ではない
  • 記録をつけ始める——どんな場面で、何をきっかけに、どんな反応があったかを記録しておく

主な相談先と特徴

相談先特徴使い方
市区町村保健センター保健師・心理士に相談できる。無料。予約しやすい最初の相談窓口として最適
かかりつけ小児科定期健診のついでに相談できる。専門機関の紹介状も書いてもらえる「発達が心配」と伝えて相談する
発達外来・小児神経科医学的な発達評価ができる。待機期間が数か月になる地域も紹介状を持参して受診
児童発達支援センター療育・専門的支援が受けられる。診断がなくても利用できる場合がある地域に確認。療育を検討したい場合

早期相談・療育のメリット

「診断が出てから動く」では遅い場合があります。診断の有無にかかわらず、「気になる点がある」段階で相談・療育を始めることが早期支援の観点から重要とされています。日本の自治体の多くで、診断なしでも児童発達支援の利用が可能なケースがあります。

よくある質問

Q
1歳半健診で指差しができなかったのは私の関わり方が悪かったから?
そうではありません。指差しの発達には生まれつきの発達ペース・気質・脳の発達段階が大きく関わっており、親の関わり方だけで決まるものではありません。「環境要因」は一定の役割を持ちますが、「関わり方が悪いから指差しが出ない」という単純な関係はありません。自分を責めるより「今からできること」に集中することが大切です。
Q
指差しはしないが、「あーあー」と言いながら手を伸ばしてものを求める。これはカウントされますか?
「要求の表現」という意味では発達の一段階です。ただし、「要求のための手伸ばし」は自分の欲求を伝えるもので、「見て!一緒に見よう」という共感の指差しとは別のものです。健診で確認されるのは主に共感・叙述の指差しです。次のステップとして、要求だけでなく親の顔を見ながら「あっち!」と方向を伝えようとする行動が出てきているかを観察してください。
Q
絵本で「犬はどこ?」と聞くと正しく指差しするのに、なぜ健診では「できない」と言われたのか
絵本での「○○はどれ?」は「応答の指差し」で、言語理解のテストとして有効です。一方、健診で主に見ているのは「叙述(共感)の指差し」——自分から「あそこに〇〇がいる!一緒に見て」と伝えようとする自発的な行動です。促されると指差しできても、自分から「見て!」と使うかどうかが重要です。家での様子(自発的に興味あるものを指差して親の顔を見るか)を担当者に詳しく伝えてみてください。
Q
指差しが出ていないが、言葉(単語)は5〜6個出ている。言葉が出ていれば大丈夫?
言葉が出ていることは良いサインです。ただし、指差しと言語発達は完全に独立した発達経路ではなく、三項関係・共同注意の発達という共通の土台を持っています。「言葉があるから指差しなくて大丈夫」ではなく、「言葉が出ているなら指差しも近いうちに出てくる可能性が高い」と考えるのが適切です。共感・共有の行動(視線での共有・見せに来るなど)が他にあれば、より安心できます。
Q
2歳を過ぎても指差しが出ません。このまま様子を見て大丈夫?
2歳を過ぎても指差しが全く見られない場合は、専門機関への相談を積極的に検討することをおすすめします。「様子を見る」期間が長くなるほど早期支援の機会が減ります。まずかかりつけの小児科か保健センターに相談し、必要に応じて発達外来の紹介を受けてください。「まだ早い」はありません。
Q
保育園に通っているが先生からは何も言われていない。家では心配。どちらを信じればいい?
どちらか一方を「信じる・信じない」ではなく、両方の情報を合わせて考えることが大切です。保育園ではグループ活動の中での様子を見ており、家庭とは異なる側面が見えています。「家では気になるが園では問題ない」場合、家庭での特定の場面での困り感か、愛着対象(親)との安心できる関係の中で表現を試みているのかもしれません。気になる点を担任に伝え、園での様子を具体的に聞いてみるのが最善です。

まとめ:今日から始められること

📌 整理:今日からできること

  • まず「叙述の指差し」があるかを観察する——「欲しい」だけでなく「一緒に見て」という共感の指差しが出ているかを確認
  • 手差し・視線共有など代替行動も確認する——指差しの形式でなく「共同注意が成立しているか」が重要
  • 大人が毎日指差しして見せる——散歩中・読み聞かせ中・食事中に積極的に「あれ見て!」と指差してみせる
  • 複数の発達領域を合わせて観察する——アイコンタクト・模倣・名前への反応・言語理解も一緒に
  • 「様子を見ましょう」で終わらせない——具体的にいつまで・何が変われば再相談か聞く。不安なら保健センターに相談する

1歳半で指差しができないことは、多くのケースで発達の個人差の範囲です。ただし「大丈夫だから何もしなくていい」ではなく、今日から環境を整えながら観察を続けること、不安があれば早めに専門家に相談することが最もできることです。焦りは不要ですが、動き出すのに早すぎることはありません。

※本記事は情報提供を目的としており、医学的診断の代わりとなるものではありません。発達に関する具体的な心配がある場合は、かかりつけ小児科・市区町村保健センターにご相談ください。指差しの発達についてはLITALICO発達ナビ(医師監修)・日本小児科学会の情報も参考にしてください。